60年代後半の東芝の佳作　IC70 スケジュール帳 2025の人気アイテム

68年発売、定価は￥9200で大きさの割には高めでした。発売当時の東芝の宣伝文句は"3倍大きなラジオと比べて下さい"という過激な物でした。中々垢抜けたスマートなデザインで、グッドデザイン賞ヲ取って居ます。薄型で不安定になる事を防ぐために底面にギアで連動して開くスタンドがついています。ちょうど当時可変後退翼の航空機が時代の最先端でこのそれにも肖ったものでしょう。底面の金属の羽がギアで連動して開閉し開くと卓上で安定して使う事が出来ます。良いアイデアで最近の薄型ラジオでも復活して欲しい位です。 スピーカーは45x80mm位の楕円形でコーンの深さのある物。エッジは柔軟で、大音量に耐え、繊細な音も出せる優れ物です。当時の東芝のベストモデルで、販売上も大ヒットします。このモデル辺り迄東芝はラジオ作りでもトップランナーの一角に居たと思うのですが、残念ながらその後が続きませんでした。ソニー、ナショナルが、其々IC11、ワールドボーイGXという力の入った3バンドモデルをヒットさせるのを見て、このIC70の部分改良だけで対抗しようとしたのでしょう。IC700という型番で同じ様な3バンドモデルを矢継ぎ早に出し、それがダメならソニーとナショナルを足して2で割った様なサウンド750を、という風に手を変え品を変えてヒットを狙いますが、二番煎じの哀しさで、結局魅力的なモデルもヒットも出せなかったと思います。東芝という会社の現在を見るにつけ、メーカーは常に前を見て市場が望むものを作り続ける事が必要だとつくづく思います。この個体は外観は梨地アルミ部分に可成りキズがあり、クリーム色のプラスチック部分は紫外線の為か黄色に変色して居ます。クリーニングと磨きで写真では綺麗ですが、美品ではありません。アンテナはオリジナルでスムーズに全段伸びますが、アンテナ受け部分のプラスチックが欠けて居ます。ボリュームツマミが無くなっており、手持ちの東芝の別モデルの物で代替。シャビーな外観の割にラジオとしての動作には問題は無く、記憶にある音、結構クリアで音量もあります。3倍大きなラジオには音では負けますが、感度は良い勝負です。相当に売れたモデルですが、状態のが良い物は今や希少で、動作品も少ないので、集められている向きは今のうちに入手される事をお勧めします。電池はお付けします。